この給与からちょこっと引かれてる「雇用保険」ってなんですか?
わたしは何か貰えるんですか?
「雇用保険」は言葉の通り、従業員の雇用の継続を守るための保険で、離職や休職をした時に幅広くサポートを受けることができるんだよ!
コヨウのホケン……?
実は、雇用保険に加入することで、かなり多くのサービスを受けることができます。
保険料も会社折半となっているため高額ではありません。
貰えるものをきちんと把握しておき、保険料が払い捨てとならないように、サービスを受けられる準備をしておきましょう!
この記事にさっと目を通すと、下記のことが分かるようになります!
- 制度の趣旨や目的が分かり加入することへの納得感が得られる!
- 加入していることで受けられるサービスを知っておくことができる!
- 保険料の計算方法がわかり今後の見通しに役立つ!
「言われるがまま保険料を徴収されてるのはいやだ」「使えるものは有効活用してやりたい」といった気持ちの方はこの辺をしっかりとご確認いただける内容になっております。
(この記事を読むのにかかる時間はさっと見で7分熟読でおよそ15分ほどです)
制度の趣旨
まずは「雇用保険」の制度の趣旨に触れておきましょう!
雇用保険は「国民の安定的な暮らしを守っていく」という政府の趣旨に基づき、「日本国で働く労働者は下記のようなサポートを受けられるように」と作られています。
- 失業時に給与の代わりとなる生活資金をサポート!
- 育児や介護によって働くことができない期間の生活資金をサポート!
- キャリアの形成を目的とした学習にかかる費用をサポート!
結構幅広くサポートを受けられそうですね!
うんうん!自分で申請しないと受けられない給付などもあるから、頭の片隅に置いておいておくといいかもしれないね。
加入の対象者
「雇用保険」には、下記に定める通り3つの要件を満たすことで加入することができます。(会社は該当者について加入の手続きをしなくてはいけません)
- 雇用関係であること(役員などは雇用ではなく委任契約となるため×)
- 31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
※期間の定めがある季節的な雇用者や、学校教育に類する教育を受けている人、船員など雇用保険に加入できない例外はございます。
というと、パートさんなどでも、週4の5時間勤務とかでも加入することになりそうですね。
下記は厚生労働省からの引用です。より具体的に確認をされたい方はリンクからどうぞ。
被保険者の範囲
雇用保険が適用となる「雇用される労働者」とは、雇用関係(労働者が事業主の支配を受けて、その規律の下に労働を提供し、その提供した労働の対償として賃金、給料その他これらに準ずるものの支払を受けている関係)によって得られる収入によって生活する者をいいます。適用基準及び加入手続
厚生労働省 雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!より
次の (1) 及び (2) のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となりますので、事業主は必ず「雇用保険被保険者資格取得届」(以下「資格取得届」といいます。)を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に、被保険者となった日の属する月の翌月 10 日までに提出してください。
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
期間の定めがなく雇用される場合
雇用期間が31日以上である場合
雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。]
(2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
貰えるもの
ここからは「雇用保険」に加入したことで受けることができる給付について見ていきましょう!
内容について深掘りはしませんが、こういう時にもらえるものがあるだという程度にご理解いただければ良いかと思います。
ひと足さきにパーっと見てきましたが、結構いっぱいあって覚えられるか心配でした……
ですね!でも、まずは「こんなものがあるんだなー」程度に触れておくことで十分だと思います!
なにかあった時や将来のことを考えた時に「そういえばあんなものがあったなー、使えたりしないかな?」って調べるきっかけになるかもしれないですしね!
失業時の給付
基本手当(失業手当) | 定年、倒産、その他の理由により離職した場合、求職中の必要資金が支給される。(離職の理由や雇用保険の加入期間により支給日数は異なる) |
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傷病手当 | 求職時において、疾病又は負傷のため仕事探しができない場合には、基本手当を受けることができないが、代わりに傷病手当が支給される。 |
高年齢求職者給付金 | 高年齢被保険者(65歳以上)が失業した場合、一般の被保険者の場合と異なり、被保険者であった期間に応じ基本手当日額の30日分又は50日分に相当する高年齢求職者給付が支給される。 |
次の職場を見つけるまでの金銭的なサポートを受けることができます!
就職を促進するための給付
再就職手当 | 基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合に、基本手当の支給残日数が給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給される。(早く就職したお祝い金) |
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就業手当 | 再就職手当の支給対象とならない非正規雇用の形態で就業した場合に、基本手当の支給残日数が給付日数の3分の1以上かつ45日以上あり一定の要件に該当する場合に支給される。(正社員ではないけどちゃんと職についたお祝い金) |
就業促進定着手当 | 再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で支払われた賃金の1日分の額が離職前の賃金の1日分の額に比べて低下している場合に給付を受けることが出来ます。 |
常用就職支度手当 | 基本手当の受給資格がある方、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合に、一定の要件に該当すると支給されます。 |
「早々に就職を決めてくれたから!」「前より条件は悪くなってしまっているけど働いてくれたから!」といった就職のお祝い金をいただける制度です!
休業時の給付、雇用の継続
育児休業給付金 | 1歳未満の子を養育するために育児休業(2回まで分割取得できます)を取得した場合に支給される。 |
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出生時育児休業給付金 | 子の出生後8週間の期間内に合計4週間分(28日)を限度として、産後パパ育休(2回まで分割取得できます)を取得した場合に支給される。 |
介護休業給付 | 2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある家族を、介護するための休業を取得した場合に支給される。 |
高年齢雇用継続基本給付金 | 60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金が60歳時点の75%未満となっているような場合に支給される。(65歳に達するまで) |
高年齢再就職給付金 | 基本手当を受給した後、60歳以後に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となるような場合に支給される。 |
「臨時で働けないその期間はサポートするので、わざわざ会社を辞めなくていいですよ!」という趣旨の制度のようです!
キャリアアップに向けた給付
教育訓練給付金 (一般、特定、専門実践) | 働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものです。 |
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資格取得などをサポートして、間接的に就業を促すための制度です!
保険料の計算方法
さて、たくさんの給付内容を見てきましたが、先ほどの給付を受けるためには雇用保険へ加入して、きちんと保険料を納めておかないといけません。
ということで、最後は払わなければならない保険料について見ていきましょう!
計算式
従業員から天引きする雇用保険料は下記のとおりで非常にシンプルなものになります。
給与額または賞与額 × 雇用保険料率=雇用保険料
給与額の範囲と、雇用保険料率をそれぞれ見ておきましょう
対象となる賃金の範囲
賃金とは、給料・手当・賞与、その他名称のいかんを問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいいます。
対象となる賃金 | 対象とならない賃金 |
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基本賃金 | 役員報酬 |
賞与 | 報奨金、祝金 |
通勤手当、定期券、回数券 | 退職金 |
時間外労働手当 | 出張旅費、宿泊費、赴任手当 |
各種手当 | 傷病手当金 |
雇用保険料率
雇用保険料率は、業種ごとに料率が若干異なりますが、下表の通り、一般的な企業のサラリーマンの場合は、令和6年度で0.6%という料率となっております。
厚生労働省 雇用保険料率についてより
よく見ると雇用保険料も事業主と折半になっているんですね!
うん!その通り!むしろ少し多めに会社は負担してくれているね!
会社が従業員のために加入させなくてはいけない義務があるとはいえ、感謝しておきたいところです!
まとめ
いかがでしたか?
私たちのお給料からしれっと天引きされていた「雇用保険」にはこんなにも多くのサービスがあることにびっくりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もしもの時、困ったときに助けてもらえるのが保険です。
働くことに困ったときは、この記事を思い出してみてください。
きっとなにか受けられるサポートに気が付くはずです。
知識があることは社会の中で生きやすくなるための大事な要素でもあります。
少しでも皆様の生活がより良いものになることを願っております【長閑なくらしFP事務所】
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